日本土壌肥料学雑誌
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新学習指導要領小学校理科に新設された「雨水の行方と地面の様子」の指導目標の具現を図る土壌教育の在り方を探る—出前授業の実践を通して—
福田 直
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2021 年 92 巻 4 号 p. 317-329

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抄録

2017年,新学習指導要領が告示され,小学校理科第4学年の指導内容として,「B生命・地球」に「(3)雨水の行方と地面の様子」が新設された.この新設の背景には,防災教育の充実があり,自然災害の発生を科学的に学習することがねらいである.また,「主体的で対話的な深い学び」を実現する授業への改善が求められている.筆者は,小学校での出前授業で「土の粒子と水の浸透」を担当したことから,「雨水の行方と地面の様子」の授業づくりに取り組み,防災教育の視点を踏まえた新学習指導要領の趣旨を活かす土壌教育の在り方を探ってきた.授業は理科と総合的な学習の時間の4時間が充てられ,理科では「土を構成する粒」,「土の粒の大きさと水のしみ込み方及び透水量との関係」の観察・実験を行った.また,総合的な学習の時間では「土砂災害の動画視聴」と「観察・実験及び動画視聴に基づいて防災を考えるグループ・ディスカッション」及び「全体発表会」を実施した.児童からは様々な意見や質疑があったが,それらは土の観点で災害を科学的に捉えたものとなっていたことから,児童らが防災の重要性を十分理解・認識していたと受け止めている.また,出前授業が新学習指導要領の趣旨を踏まえた防災教育につながる土壌教育実践となったと考えている.今後,新学習指導要領の目標である教科等横断やカリキュラム・マネジメントに基づく土壌教育を構築する「深い学び」を模索していきたい.

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© 2021 一般社団法人日本土壌肥料学会
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